日本公認会計士協会 東京税理士会 所属

金融機関との上手なつき合い方Q&A

 黒字倒産”という言葉があるように、会社は利益が出ていても資金がショートすれば倒産してしまいます。

 これは「利益(もうけ)」と「資金」が一致していないことが原因です。「勘定合って銭足らず」ともいいます。本当の資金繰り改善は借りてくることではなく、借りなくてもいい体質をつくることなのですが、そうはいっても経営をしていれば、当座の「収入」と「支出」のズレから資金不足が生じることも出てきます。
 こんなとき、金融機関からタイムリーに融資が受けられることがわかっていたら、実際には借りることにならなかったとしても、どんなに安心で心強いことでしょうか。そのほか、新規の設備投資にあてるため、リースや借入による調達をおこなう際などに、金融機関とのおつき合いが生じます。

 ここでは金融機関を、会社を経営していくうえで不可欠な「資金」を提供してくれる「協力者」、「よきパートナー」ととらえています。日々の実務の現場で、どのような姿勢で金融機関に対応していれば、金融機関との信頼関係が深まり、必要な金額を、しかもタイムリーに、用立てることができるのでしょうか? 

金融機関との上手なつき合い方Q&A

Q1.最近金融機関による中小企業向けローンの貸し出しが積極的になってきたとききましたが、どういうことですか?

A1.金融機関の融資姿勢が「普通」に戻ってきたからだといわれています。

 そうですね。新聞広告やテレビコマーシャルでも都市銀行を中心にビジネスローンのお知らせを多く目にするようになりました。

 バブルの崩壊によって莫大な不良債権を抱えた銀行は、それ以降「貸し渋り」や「貸し剥がし」などといわれたほど中小企業に対する融資の姿勢が消極的になった時期がありました。最近大口の不良債権の処理が進み、ビジネスローンを中心に、金融機関の融資姿勢が「積極的」、「普通」になったといわれています。

 中小企業に対するアプローチが盛んなことの背景のひとつには、財政状態と収益力が優秀なトヨタや富士通、キャノンなどに代表される一部の上場企業に貸付を、何十億、何百億円としても、ほとんど儲からないことも影響しています。こうした会社は、国際的な金融市場における格付けが、概して日本の金融機関より高く、安い金利で資金調達できますので、こうしたところと取引しても、銀行としては大きなロットのお金を使う割には資金の効率がよくないのです。
どんな借入だったら融資がもらいやすいか?

 中小企業に対する貸出姿勢が積極的になりつつあるという環境がでてきたとはいえ、銀行も商売なのです。「最終的に銀行の貸したい理由で、貸したい人に貸す」ことに変わりはありません。

 融資してもらいやすい資金は次のようなものです。

①OK 資金繰り=立替金 一時的に資金をつなぐ、ボーナス資金など
②OK 増加運転資金(新たに投入した商品の販売が大好調など、成長の過程における不足資金)
③OK 新設備資金(ただし事業計画にもとづく戦略的投資)
④「イヤ~ン ムリかも」 とりあえず足りないので何とかしてほしい
⑤「ダメじゃん!」 今日、すぐにお願いしたい

 健全な借入とは、返す能力・計画がついたので借入を考えるもので、足りなくなったから借り入れするという企業の姿勢は、金融機関からみると危なっかしくみえるということです。スムーズに借入を起こすためには、現在、企業は「信用格付け」のルールのもとで評価されていることを認識することが大切です。

Q2.銀行借入には保証協会の保証をつけています。最近「会社の決算書と申告書を欲しい」といってきました。初めてのことです。何かあったのですか?またどう対応したらよいですか? 

Q3.経営をしている友人から、会計事務所を変えて、最近銀行に融資を申し込んだら、スムーズに進んで気持ちよかった、といっていました。そんなことがあるのですか?

Q4.商売をしていると「いいお客さま」と「あまり歓迎できないお客さま」があるというのが、正直なところです。金融機関の立場からしても同じようなことがありますか

Q5.以前、ペイオフが解禁されたということが、マスコミでずいぶん騒がれた記憶がありますが、最近とんと聞きません。なにか気をつけたり、安心するためにできることはありますか?

「利息のつかない普通預金」(ペイオフが解禁されるなかでの周辺会計保有の預金管理) 

1.ペイオフの解禁が持つ意味

 これまでのテレビや新聞などマスコミの報道によりすでにご承知のとおり平成17年4月より、決済用預金(当座預金など)を除く10.000千円を超える預金については、ペイオフが解禁されています。つまり資金を預け入れている金融機関が破綻した場合には10.000千円を超える金額については、預金者に貸倒れリスクが生じているということになります。

 事業会社が日常的に利用する普通預金の場合、その保全手続きは経理担当者が中心となって日常的に管理をおこなっていますので、その法人のいわば本会計については、資金に関する保全や運用の方針にしたがって処理をしていれば、現状のままで格別の問題はないはずです。

 ここでは私たちが日常接する、マンションの管理組合の修繕積立金や同業者団体などいわゆる周辺に位置する会計が保有する預金に対して、ペイオフ解禁が持つ意味と影響や対応策といったようなことについて、個人的な見解をまとめてみます。 

2.資金の保全責任についての情報開示をつうじ、預託者の安心感を高める効果 

ここでは、学校経営を例にとって、はなしを進めてみましょう。
(1)学校法人のPTAや同窓会、後援会など年間の収入受入が、相当多額に達する団体や
(2)建学の精神にもとづく学校教育普及への賛同や校舎などの建設の資金需要にあてる目的で寄付を募った団体
は場合によっては数億円単位という、相当な金額を預金残高として保有しています。

 申し込みに応じた寄付金収入として、学校法人に帰属するまでの預金の所有権はもちろんこうした団体にあります。しかし資金は学校教育に役立てる目的で集めたもので、長期にわたって運用するような性質は持たないこともあって、広く一般に各学校の事務局などを通じて普通預金への預け入れによって資産の保全管理が行われているのが実情です。こうした預金は、経理担当者などが売上の入金や振込などの取引に利用することをとおして日常的に目が行き届くわけではありません。

 最初に学校経営を取り上げて、はなしを始めたわけですが、このほかにも、
(1)マンションの管理組合が各居住者から集めて、預かっている修繕積立金や、
(2)あるいはロータリークラブ・老人会などの慈善や友好団体
(3)医師会や法人会など公共的な性格を持つ職業団体
などについては、「ペイオフの対象外となる預金」として資金を保全し、こうした方針を預託者に十分説明することも、最近の金融情勢や政府の政策判断の出方などを考えると、ひとつの選択肢だなと私は考えています。

 なぜなら、ペイオフの起きる可能性が現実にはほとんどないとしても、普通預金で0.001%、1年を超える定期預金でも0.030%程度という超低金利が依然続く運用環境を前提にすれば、わずかな利息収入を得ることにあまり意味はありません。いっぽう預託された通帳は、金額に重要性があり、またその資金の性質に配慮した結果として、細心の注意を払って保全されているというメッセージを預託者に発信することは、ここ数年間の金融マーケットでおこったことを思うとある程度重要だとわたしは考えます。こうしたコミュニケーションをつうじて、実質的に受託責任を負っているマンションの管理組合責任者や学校法人のイメージアップが期待でき、また必ずしも財務に詳しいわけではない預託者の安心感を具体的に高めることができるからです。 

3.なぜ「利息のつかない普通預金」はあまり知られず普及しないのか

 実はペイオフ解禁に合わせたタイミングで、各金融機関は、あまり聞きなれない名称ですが「利息のつかない普通預金」というあらたな決済用預金の「品揃え」をしています。これは法律の要請によるものです。わたしは事業会社のお客さまにもよく一般の普通預金からこのタイプの決済用預金への切り替えをお勧めしますが、このあたらしい決済用預金は現状でもそれほど普及していないし、銀行が勧めてくることもないようです。その背景を調べてみましたので、最後にまとめてみました。よろしくご検討いただければと思います。

 決済用預金は、いわゆる「金利ゼロ%」の無利息商品ですので、一見銀行の資金調達コストは生じないように思われます。しかしながら、こうした決済用預金はペイオフ解禁の対象外ですから、10.000千円を超えるお金を預かった分についても、預金の貸倒れリスクに対する保証を預金者に対して行うため、銀行は預金保険機構に保険料を支払わなくてはなりません。

 こうした保険料は、「一般の普通預金」や定期預金といった定額保護(10.000千円までの元金と金利を保護)の一般預金については、前年度の各銀行の平均残高の0.083%です。いっぽう、全額保護の決済用預金については0.032%高い0.115%になります。その結果、銀行は預金者が資金を一般預金から決済用預金に移すと支払利息(資金の調達コスト)の負担は0.001%程度減りますが、預金保険機構への保険料分の割増し分0.032%との差引きで、純額0.031%の損、約40%のコストアップ要因になります。0.031%といえば、銀行からすると10.000千円を超えるようなまとまった資金を1年定期で調達した場合のコストと同じぐらいです。つまり「利息のつかない普通預金」については、保険料もふくめて考えた場合の資金の調達コストは、定期預金とほぼ同水準ということになり銀行にとっては矛盾をはらんだ「品揃え」といえるのかもしれません。 

銀行の資金の調達コストの比較表 

コスト 一般 一般 利息なし
普通預金 定期預金 普通預金
支払利息 0.001 0.031 0.000
預金保険料 0.083 0.083 0.115
コスト合計 0.084% 0.114% 0.115%

 預金保険機構に対する保険料率は、各銀行の格付けや信用力に応じた差を設けないよう法律で決まっているので、破綻の懸念のない例えばメガバンクが、決済用預金への資金の移動による保険料の負担増を嫌って、「利息のつかない普通預金」を特に積極的に預金者にお勧めしないというのもわかる気もします。またペイオフ対策は預貯金が1銀行あたり10.000千円以上ある方にのみ関係してくることなので、テレビなどのマスコミもそう多くは取り上げないということもあってか、預金保険機構の保険料追加負担分のはなしはあまり知られていないのかもしれません。 

Q2~Q4 ごめんなさーい!

ごめんなさーい!

 最近スタートをきった「花木会計」のホームページです。

 みなさまに楽しんで、読んでいただけるよう、準備を進めていますので、このコーナー「金融機関との上手な付き合い方Q&A」のQ2~Q4についての記事も、平成19年1月15日までにはアップすることをお約束いたします。


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